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2012年夏の旅(15)バルセロナ(リェイダ) [オペラと美術の旅2012夏]

9/6(木) Barcelona(sants)10:00→Lleida10:57/12:50→Barcelona13:55

 今日は予定通り半日エクスカーションでリェイダへ。AVEで1時間弱、かなり大きな町です。ここはサラゴサへの往復などで何度か通過したことがあり、電車から丘の上の大聖堂が見えるたびに、一度は訪ねてみたいと思っていました。

RENFEの駅は旧市街と離れています。TAXIで大聖堂の傍まで行って、帰りは1時間後に迎えを頼みました。城壁内に入り、まずは緩やかな坂を上って大聖堂の南側へ。

☆La Seu De VELLA LIEIDA / リェイダ旧大聖堂                        

 リェイダの人々にとって、丘の上に堂々と建っている大聖堂はシンボル的な存在です。一時はムーア人の要塞だったのですが、1149年にカタルーニャ軍によって攻略され、勝利の後はキリスト教徒によって、モスクの跡に教会が建てられました。かなり高所にあるため。その後新しい大聖堂が利便性の良い低いところに建てられました。1200年ころに始まった工事は二つの時代(ロマネスクとゴシック)にまたがりましたが、優れたロマネスク末期の彫刻が残されています。

↓南側 高い鐘塔はゴシック

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東側の低いランターンタワーもゴシック

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↓ 南側面には二つのロマネスクスタイルの扉口が並んでいます。こちらは階段の奥のFillols Gate。

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↓ こちらのほうが古いL'Anunciata Gate(1215年ころ)。上部に薔薇窓、少し張り出した扉口の左右のニッチに受胎告知の像があったのですが、現在は失われています。そのニッチはモスクの名残でしょう。トップが多弁型アーチ。

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↓ 側柱の柱頭彫刻はこの旧大聖堂の特色でもある複雑に絡み合った植物を主体に彫られたものが多数。

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↓ ヴシュールの上、コーニスのモディリオンと下に凝ったクリスモンの装飾。

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↓ これもロマネスクの終期らしいモディリオン。右の羊飼いは鳥の脚!?

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↓ 後背部外観。後陣は4つですが、主後陣の右北はロマネスク、左南はゴシックが2つとあまりお目にかかったことのない変則的な構成です。

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↓ 西側正面は先ほどの高いゴシックの鐘楼とやはりゴシックの扉口が並んでいます。

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↓ この扉口の向こうは回廊になっています。変則的なプランです。

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↓ 玉座のキリストに左右は磔刑の場面など。3段に分かれ細かく刻まれたゴシックの典型的なタンパン。

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↓ 上のファサード左側に入口、チケット売り場があり有料です。そこを抜けるとすぐ回廊にでます。広大なゴシックの回廊ですが、柱頭彫刻は複雑に絡み合った植物、人、動物など。高さもある広大な回廊には見物人の姿もなくひとり占め。

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↓ 中庭には初秋の薔薇とススキが咲いていました。

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↓ この回廊の東側に教会があり、その扉口が3つ並んでいます。ラウンド・アーチとヴシュールのロマネスク様式。

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↓ そのうちの左(北側)扉口から中に入ります

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↓ 入口になっている北扉口の柱頭彫刻はご訪問と生誕のシーン。

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↓ 内部はロマネスクからゴシックへの過渡期を表わし、上に向かっていく感じが伝わってきます。その荘厳の美の空間に圧倒されました。これが全くのゴシックになってしまいますと、私的には好ましい空間ではなくなってしまうのですが・・・。

3つのベイと天井はリブ・ヴォールト。何本もの柱で束ねられた複合柱とアーケード。迫りくる時代の流れを感じさせる大空間です。素晴らしい・・・。

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↓ 交差部から南袖廊。先ほど外から見た薔薇窓。

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↓ 側廊の壁に展示されていた柱頭彫刻。

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↓ 内陣近くには説話的テーマの柱頭彫刻。参考書では旧約テーマは交差部や内陣に新約テーマは身廊に分かれているとのことですが、時間もなく深く観察はできませんでした。

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↓ 右の薔薇窓(運命の車輪)を支えている二人の人物。逆時計回りの車輪の右の人物は上(天国)に向かい、左の人物は下(地獄)へ。下の人物は両腕を上の車輪にあげ、車輪を回す役割を担っていると思われます。左は戦うケンタウロス?

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追記:「運命の車輪」について

中世のボエティウス『哲学の慰め』で、運命は回転する車にたとえられ、ロマネスク美術の運命のモティーフとなった。この主題は人間の平等という本能を満足させるということから一般に普及。12世紀末の『歓喜の園』の写本挿絵欄外、ヴェローナのサン・ゼノ教会のファサード彫刻にも見られる。教会装飾ではファサードや翼廊の薔薇窓に表現されることが多い(バーゼルやボーヴェなど)。人間諸事の無常と不安のシンボルは中世末期まで引き続き表現された。

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↓ サムソンの後ろ姿。作風の違う彫刻があちこちに見られます。これだけの大きな教会ですから、多数の工房がかかわったのでしょう。

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↓ 南側廊壁面にゴシックのフレスコ画

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 予想していたより素晴らしいリェイダのSeu Vellaでした。時間通りに迎えに来たTAXIで駅に戻りました。Google Earthで確認して、歩けると思ったのですが、実際に来てみるとかなり高い丘にあり、暑い日でしたしTAXIを使いました。それで、予定より1時間早いAVEに乗ってBarcelonaに帰りました。

↓ リエィダの駅ホーム。

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 バルセロナのジュセップ市場内の食堂でランチ。1月には働いていたおじいさんはどうやら引退したようです。かなり耳も遠くなっていたのですが…寂しいです。隣に日本人の青年が座り、久しぶりの日本語でおしゃべりしました。1週間ほどの休みでヨーロッパに来られたとか。ベニス~バルセロナ~パリと忙しいけれど・・・と楽しそうな笑顔の好青年でした。

↓ いつもの小烏賊と豆のお皿

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↓ 奥にもう一軒新しい?バルができていました。

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 ホテルに戻って洗濯機を回し、仮眠。そして、今夜が最後のバルセロナのコンサートへ。

 Richard Wagner 「トリスタンとイゾルデ Tristan und Isolde」@Gran Teatre del Liceu  19:00~

 席/ロッジア18-1-1  224€

Musical Directer:Perter Schneider 

Tristan:Robert Dean Smith   Rei Marke:Franz-Josef Selig   Isolde:Irene Theorin

Kurwenal: Jukka Rasilainen   Melot:Ralf Lukas   Brangane:Michelle Breedt

Un Pastor:Arnold Bezuyen   Un jove mariner:Clemens Bieber

 今夜で今回の旅での音楽シーンは終了です。最後ですから和服を着たかったのですが、持ってきたのは7月8月限定の夏ものですから、いくらこちらの人は分からないと思っても、やはり気おくれしてしまい洋服ででかけました。

 コンサート形式のオペラは少し物足りない面もありますが、演出などに気をとられない分音楽に没頭できるというメリットもあります。「トリスタンとイゾルデ」はオペラ歴16年のなかで実舞台は2度だけ、ウィーンとベルリンで観ました。CDを聴くことも多い大好きなオペラです。今夜も圧倒的なワーグナーの音楽に心が感動で震えるようなも想いでした。2度の実舞台で、不満だったのがトリスタンでしたので、今夜のロバート・ディーン・スミスは期待通りでようやく納得。。。トリスタンの持つ孤独感、愛と哀しみの表現は秀逸でした。イゾルデ他の歌手陣も奮闘し、リセウの熱い聴衆を魅了。シュナイダーが指揮台に立ったときは少し、よろよろした感じでずいぶん老人になられたと心配でしたが、指揮棒を振り始めるとそんな心配も杞憂でした。ベテランらしく、気負いなく、溢れるように芳醇に・・・。ドラマティックで、ロマンティックで素晴らしい~☆

バイロイトが終わって日も経たないうちにバルセロナでのコンサートでしたから、オーケストラや合唱のかたたちも本当にお疲れ様でした。リセウもこの不況で経営が厳しいと聞きましたが、熱心なファンに支えられて、この苦境を乗りきることができると信じています。

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バイロイト音楽祭には多分行けないと思いますので、この3公演をリセウで聴くことができて、幸せでした。

↓ アパートとリセウ劇場の間のサン・パウ通り。すでに12時過ぎていました。

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↓ 夜食/ビール、茸、しし唐、黒オリーブとチーズ入りサンド、アスパラ、黒トマト、サーモンチップ。

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 明日からはまたロマネスク行脚が始まります。チェックアウトは11時なので、荷物の整理は翌朝で間に合います。「トリスタン~イゾルデ~♪」お風呂に入って、ぼーっとしつつ、バルセロナの最後の夜を過ごしました。


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コメント 9

yk

リェイダの大聖堂の写真 興味深く拝見しました。 最初の扉口のブシュールの彫刻、少しはっきりしないのですが、波型?ノルマンっぽい、つまりアラブ的なのかな、と思いましたが。6枚目のクリスモンも凝っていますねえ。
薔薇窓または車輪?を支えている二人の人物 
これはもしかしたら、「人生の車輪」「運命の車輪」を回している図、と考えられないでしょうか。12世紀以降のモチーフですが、この彫刻のすぐ上の聖人たちより時代が新しそうにみえますので。 私は壁画で、天使が運命の車輪を回しているのをみたことがあるので。連想が飛びすぎかもしれませんが。
by yk (2012-10-16 07:44) 

alice

ykさま、今までもロマネスク末期の聖堂を訪ねたことはあるのですが、ここリェイダほど、興味深いところはなかなかありませんでした。

南扉口も柱頭彫刻も13世紀に入ってからの作なのですが、かなりロマネスクの残影を引きずっているのに、反面新しい図像を模索している二重性がなんか切ない感じでした。

最初の南扉口のヴシュールはジグザザグや連続半円アーチなど、この時期には普遍的なスタイルになっていたものと思われるのですが、

運命の車輪(多分そうかも)は私は観たことがありませんが、mixiのほうで、tinaさまが以前イギリスのロマネスク紀行で書かれていたような記憶があります。車輪の下に居る人物は何をあらわしているのでしょう?
by alice (2012-10-16 21:29) 

alice

追記です。 「運命の車輪」について検索したところ、イル・ド・フランスのBeauvaisに運命の車輪という薔薇窓があるそうです(11~12世紀)。

それを参考にしますと、逆時計回りだというのこの車輪の右の人物は上を(天国/幸運)目指していますで、左の人物はその反対です。下の人物は拡大で確認しました。車輪下を両手で支え、多分回しているのです。

ykさまのコメントから、疑問が解けました。ありがとうございます!
by alice (2012-10-16 22:14) 

yk

ジグザグとか、ああ矢張り イスラム関連かな、と思ったのですけれど、 流布してしまえばどこでも作れるわけですね。 
「運命の車輪」 についてはは10年以上前にカルチャーセンターの小池寿子さんの講座で聞いたことがあります。
著書『死を見つめる美術史』 にも出ています。 それにはボーヴェのバラ窓の写真も出ています。最初は単なる車輪だったのが(車輪は変転し定かならない運命の象徴)、いろいろ人生の諸段階のような絵がくっつくようになったようで、ブルガリアの聖堂でみたものも 壮年、老年などの絵が描かれていました。
by yk (2012-10-17 00:08) 

alice

ykさま、小池先生の『死を見つめる美術史』、持っていなかったので早速アマゾンで注文しました。

今気がついたのですが、上の私のコメントでボーヴェの11~12世紀とあるのは初めの教会建築のことで、のちの改築時にこの薔薇窓が造られたようです。8月末に行ってきたばかりのバーゼルの薔薇窓もこの「運命の車輪」タイプとのことで、写真を拡大して眺めました。

柱頭彫刻としての「運命の車輪」はリェージュ以外にあるのかしら?



このところの円高でゾディアック叢書を数冊フランス
by alice (2012-10-17 14:57) 

yk

ボーヴェには行ったことがないので、詳しくは分かりませんが、小池さんの本と、NHk日曜美術館「名画への旅」『天国へのまなざし』講談社、 どちらにも このバラ窓の写真がでていて 1100年頃 となっています。 ネットで検索しても、現在の サン・テティエンヌ教会でこの窓がうつっている写真はみつけることが出来ませんでした。 車輪状のバラ窓でしたら、alice様もいらしたジローナの サン・ペラ・ダガジガンス教会 もそうでした。 教会内に もともとのが 展示されてあったのですが、 写真禁止で写真ありません。私のHp には三人の司教などのレリーフがあった、 とあるのですが、悲しいかな もう記憶がはっきりしません。
ブルガリア、アルパナシの生誕教会の壁画しか 見たことはありません。 柱頭彫刻は初めてで とても興味深く リェイダをを拝見した次第です。
by yk (2012-10-17 16:12) 

alice

ykさま、『天国へのまなざし』講談社は持っています。しばらく(何年も)開いていなかったので、早速パラパラ・・・ばら窓の変遷の項にボーヴェの写真がでていますね!

私が検索で見つけたページは、ほあぐらさんの↓
http://www5e.biglobe.ne.jp/~truffe/champagne.htm

ロマネスクの旅を計画するときなど参考にさせていただいているお気に入りのHPです。

↓バーゼルのばら窓も同じほあぐらさんのところで知りました。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~truffe/swiss.htm

バーゼルは写真が載ってませんので、私のところに追加させていただきますね。
by alice (2012-10-17 20:22) 

yk

運命の車輪、拡大写真ものせてくださったのですね。 しっかり拝見しました。ほあぐらさんのページは (ロマネスク百科事典みたいですね!) お気に入りにいれてあるのですが、自分の行こうとするところを中心にみていましたので、 ボーヴェは見ていなかったような。
他の方のサンテティエンヌ教会の写真に見えないのは当然、正面ではなく翼廊だったのですね。バーゼルは サントュルサンヌ関連でみてはいたのですが、、。
ロマネスクのおしゃべり、楽しい!!
by yk (2012-10-17 20:58) 

alice

ykさま、ほあぐらさんのページはおっしゃるとおり、まさにロマネスクの百科事典ですね。写真が少ないのが寂しいのですが、簡潔な文章が見事にそのロマネスクの教会の特徴を捉えていて、素晴らしいです。

リェージュの柱頭彫刻がykさまのお目に留まって、そこから興味が広がっていくやりとり。。。私もとても楽しいです~☆

これからもロマネスクの記事はルッション~オーヴェルニュと続きますので、よろしくお願いいたします。
by alice (2012-10-18 13:23) 

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